交配種F1【交雑種】には利点や欠点がありますがどのような影響があるのかあまり知られていないですよね?
日本において種子市場規模の第一位は交配種F1です。販売されているほとんどの野菜と種子はF1品種なのですよ。
この記事を読むと交配種F1の利点と欠点を理解できます。
種子を扱う菜園家も毎日のように野菜を食べるわたしたち消費者にとってもF1品種の性質を知ることにより日々の生活をより豊かにするためのてかがりになるでしょう。
交配種F1【交雑品種】について
[交配種F1は工業型農業との相乗効果により大量生産を可能にしてきました]
交配種F1が急増したのは1964年頃(昭和39年)であり高度成長期の半ばであり重化学工業の発展と共に野菜の生産も工業化して交配種F1【交雑品種】の需要は一気に高まりました。
工業型農業は「化学」と「石油」と「機械」を使用することによって大量に食料を生産します。
その目的は経済の発展でした。
そして工業型農業にとって交配種F1【交雑品種】はとても相性の良い種子だったのです。
そんな交配種F1の利点について解説しますね。
私は有機JAS有機農産物生産行程管理の資格を持っており有機JAS認証農地や家庭菜園でオーガニック100%の有機野菜をF1品種の野菜も使用して生産しています。
交配種F1【交雑品種】の利点①成長が早く生育が良好
[F1品種は雑種であるため生育良好ですが形質を子に継承できません]
交配種F1【交雑品種】の利点は大量生産に適しているということです。
その理由は雑種強勢(ざっしゅきょうせい)という特徴にあるのですよ。
交配種F1は人工的に異なる野菜とかけ合わせて作り出した野菜であり雑種(ハイブリット)です。
雑種は両親よりも特性や形質が優(すぐ)れており病気にも強く丈夫であり生育も旺盛(おうせい)ですよね。
交配種F1が生育良好で成長も早いのは雑種であるからなのですよ。
ですが交配種F1だけでは爆発的な大量生産には至りません。
大量生産を実現させたのは工業型農業であり交配種F1は工業型農業との相性がとても良いのですよ。
工業型農業は化学肥料をあたえることによって野菜を強制的に肥大化させます。
そして化学合成農薬によって物理的に虫や菌を排除します。
それが工業型農業の生産システムであり化学と石油と機械によって成り立っているのですよ。
交配種F1の雑種強勢と工業型農業の生産システムの相乗効果によって野菜は大量に生産され続けているのです。
交配種F1【交雑品種】の利点②意図的に形質を変化させる
[わたしたちが毎日食べているほとんどの野菜はF1品種です]
交配種F1【交雑品種】の利点は人工的に目的に応じた野菜を作り出すことができることです。
交配種F1は人工的に他の野菜と交雑させて味や形状を意図的に変化させるのですよ。
たとえば販売しやすいようにすべて同じサイズに生育が揃(そろ)う野菜、子供がよろこぶ種のない野菜、長距離輸送による衝撃ダメージを受けないように皮を厚くした野菜、調理を簡略化させるための味のない野菜、収穫を簡略化させるために成長速度が揃う野菜などはF1品種によって人工的に作り出したものです。
わたしたちがスーパーマーケットで購入しているダイコンやキュウリはどれも同じサイズでありそして真っすぐに伸びていますよね。
その理由は交配種F1の種子で生産したからであり収穫したときにはすでに同じサイズで同じ形状なのです。
交配種F1【交雑品種】の欠点①種子を生産できない
[農林水産種によるF1品種【交雑品種】についての説明]
出典 農林水産省-品種登録の考えについて
交配種F1【交雑品種】の一番大きな欠点は特性や形状という野菜の形質を子継承できないということです。
雑種であるため形質は固定されていないのですべての種子に一定した遺伝子情報を継承することができません。
そのためF1の子であるF2から収穫した野菜の形質はバラバラなので利用する価値が低いのです。
それが交配種F1【交雑品種】は自家採種ができない理由です。
そのため交配種F1は種子を自家増殖できないので購入することでしか入手することができません。
もし交配種F1の種子だけで野菜を生産するなら永遠に自給自足を完結することはできないでしょう。
何故なら何らかの理由で種苗会社からF1品種が提供されない状況になったり金銭的な理由などでF1品種を購入できなかった場合は野菜を生産することはできなくなるからです。
交配種F1【交雑品種】だけを使用するなら種子の購入と消費というサイクルを続けることになり種子が無くなった時点で野菜の生産を終了しなくてはなりません。
菜園家が種子を自分で生産しないということは生殺与奪(せいさつよだつ:生かすこと奪うこと)の権利を種苗会社に握らせるということです。
種子は野菜の生産には欠かすことができない大切なものなので自給する野菜は自家採種できる固定種の種子を使いましょう。
自然が育む固定種の種子は一粒万倍(いちりゅうまんばい)と言って一粒だけで無限に増える生命本来の可能性を持っているのです。
[F1品種は雑種であるために形質を子に継承できません]
交配種F1【交雑品種】の欠点②多様な生態系の損失
野口勲氏「F1の雄性不稔はミトコンドリア遺伝子の異常。生まれた子どもは男性機能がなくなる。そう言う種が外国からどんどん入ってきて、今皆さんが食べている野菜になっている。人類はあと50年で全滅するだろう」
葛城奈海氏「人間の精液1ml中の精子は1940年代は1.5億あったのが、現代では4分の1に」 pic.twitter.com/Hk7Ruml7Zv— take5 (@akasayiigaremus) May 31, 2020
交配種F1【交雑品種】は生産のためだけに人工的に作られた野菜であり子孫を残すことは目的にはされておりません。
そのため生物として子孫を残す機能を失っています。
交配種F1の使用量が増えれば増えるほど固定種の種子は排除されており在来種における品種の残存数は少なくなっているのですよ。
それは多様な生態系と多様な生物の減少を意味しており地球の持続可能性にとっては望むべきことではありません。
さらに交配種F1【交雑品種】の生産には親株として雄性不稔(ゆうせいふねん)の植物が使われています。
雄性不稔とはミトコンドリア遺伝子の異常によって子孫をつくる器官がない突然変異の植物のことです。
雄性不稔(ゆうせいふねん)によって生み出される交配種F1は子孫を残す機能すら失いかけているのです。
そしてそれはわたしたちの身体にも影響を及ぼしていると言われています。
わたしたちの生殖能力も低下している理由のひとつとして子孫を残せない雄性不稔(ゆうせいふねん)の野菜であるF1品種の野菜ばかり食べることが挙げられているのです。
その証拠にF1品種が使用されている経済先進国の人口は減少し自然由来の種子を使用する開発途上国では人口が増え続けています。
このように交配種F1【交雑品種】を多用することは地球の持続可能性を低下させるでしょう。
交配種F1【交雑品種】の欠点③味わいや風味の低下
[交配種F1には無く在来種にあるのは野菜本来の美味しさです。]
交配種F1【交雑品種】の欠点は味に深みが無いことです。
野菜本来の味わいや風味が薄れているいえるでしょうね。
昔の野菜は美味しかったと言われる所以(ゆえん)はそこにあるのですよ。
伝統野菜「在来種」の一番大きな利点は野菜本来の味があることでしょうね。
その理由は江戸時代から日本の伝統的な風味を遺伝子情報として継承しているからです。そのため
在来種には深い味わいがあるのです。
家庭菜園は健全で美味しい野菜を生産する条件が揃っておりその目的はわたしたちの健全な健全な食生活と健やかな成長にありますよね。
そしてそれを実現させるのは在来種でありオーガニック(有機農業)です。
家庭菜園をするなら在来種を使用して有機農業で栽培しましょう。
そうすることで日本中どこを探しても売っていない素晴らしく美味しい野菜を生産することができますよ。
自家消費の野菜を栽培するなら固定種が最適なのです。
まとめ
交配種F1【交雑品種】の利点を活かすことにより食料生産の可能性は広がります。
そして 交配種F1の欠点は多様な生態系を損失させることにありますよね。
ですが固定種の利用率を高めることによって地球の持続可能性を低下させる影響は減らすことができるでしょう。
こちらではF1品種が世界に普及するに至った工業型農業と有機農業それぞれの利点と欠点について解説しています。
有機農業と工業型農業(慣行農業)を家庭菜園で行う利点と欠点を解説
ぜひご覧ください。
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