F1品種【交雑品種】と言う野菜の種子を見分ける方法はよくわからないですよね?
この記事を見るとF1品種をパッケージで見分けることが出来るようになります。
そしてF1品種は自家採種に適さない理由についても簡単に理解することができますよ。
人が作り出した野菜であるF1品種という種子区分の性質を知ることで菜園家であるあなたの栽培技術は向上するでしょう。
F1品種【交雑品種】をパッケージで見分ける方法
[F1品種【交雑品種】には『社名+交配』『一代交配』『一代雑種』『F1』と記載されています]
F1品種【交雑品種】をパッケージで見分ける方法を解説しますね。
結論を言うと種子の容器に『社名+交配』『一代交配』『一代雑種』『F1』のうち、いずれかの記載(きさい)があるならばその種子はF1品種ですよ。
交配とは品種の異なる2つの野菜をかけ合わせたという意味です。
パッケージに松永交配と表示されていたなら松永種苗株式会社によって交配されたF1品種の種子ということですよ。
一代交配も一代雑種もF1もF1品種であることを証明していますので種子を購入するときは確認してくださいね。
F1品種【交雑品種】を見分ける必要性について
[松永交配とは松永種苗株式会社がつくったF1品種であることを示しています]
販売されている種子の中で一番普及しているのはF1品種(交配種F1)です。
そのため種子区分を知らないで種子を購入するとほとんどの場合はF1品種を購入することになるでしょうね。
F1品種は生育良好ですし素晴らしい特性を持っているので食料として栽培するなら菜園家としてのあなたの可能性を広げてくれるでしょう。
トマトのF1品種の中には驚くほど甘い種子もあるので試(ため)してみてくださいね。
カネコ種苗株式会社の『イエローミミ』はフルーツのような美味しさを味わうことができますよ。
F1品種は限定的に利用することでわたしたちの菜園ライフを充実させてくれます。
ミニトマトを栽培する重要なポイント
ミニトマトのような甘い野菜を栽培する場合は必ずビニールハウスのような室内でおこないましょう。
その理由は甘い匂いに誘われてスズメバチがミニトマトを食べに来るからです。
刺される危険があるので屋外でミニトマトを栽培するのは避(さ)けましょうね。
F1品種【交雑品種】が自家採種に適さない2つの理由
[F1品種は生育良好で素晴らしい特性も持っています]
F1品種(交配種F1)は商品として販売することを唯一の目的として作られた種子です。
その生産工程は自然界における植物の繁栄方法とはかけ離れている技術もあるため遺伝情報を子孫に受け継がせることができません。
商品として経済を発展させるために生み出されたF1品種は繁殖機能を失(うしな)いかけているのです
たとえ自家採種をおこなっても求めているような結果は得られないでしょう。
なぜ自家採種は適(てき)さないのか?
その2つの理由を解説しますね。
F1品種は雑種なので形質という遺伝情報を子孫に継承できない
[農林水産種によるF1品種【交雑品種】についての説明]
出典 農林水産省-品種登録の考えについて
結論を言うとF1品種【交雑品種】から種子を採取して農地に播(ま)いても親株のような農作物は収穫できません。
F1品種【交雑品種】とは品種の異なった野菜をかけ合わせた雑種(あいのこ)なのでどれだけ素晴らしい特性を持っていてもその特性や形状を子孫に継承(けいしょう)させることはできないのです。
その理由はメンデルの第二法則である「分離の法則」が働いているからです。
交配種F1の子であるF2は父と母から遺伝情報を受け継いでいますがその形質は3対1の割合で発現するため発育速度や株丈そして葉の色や実色を含めてあらゆる形質が不規則に表面化するのですよ。
F1品種から種子を採取して播(ま)いてもF2世代ではまったく異なる野菜ができてしまうのです。
そのため求めているような農産物は収穫できないでしょう。
そして三代目となるF3ではさらに不規則な状態で性質や形状が混ざり合って出現することになるのですよ。
これがF1品種は自家採種に適さない理由のひとつです。
F1品種の歴史や開発した目的についてはこちらで解説しています
メンデルの法則が証明するF1品種が自家採種に適さない理由
[メンデルの法則はF1品種が自家採種に適さないことを証明しています]
F1品種【交雑品種】の特性がどれだけ素晴らしくてもF2世代にその遺伝情報を継承することは困難であることはメンデルの法則が証明しています。
メンデルの第一法則である『優劣の法則』によってF1品種を説明することができますよ。
新たな品種の野菜を作ることを目的にして意図的に性質や形状の異なる親を交配させてF1品種(交配種)を作り出していますよね。
一代目であるF1品種は父親と母親から受け継いだ遺伝子情報のうち優性という表面化する遺伝子の形質だけが発言します。
そして劣勢という潜(ひそ)む遺伝子の形質は発現しません。
F1品種では優性(表面化する)遺伝子の特性だけが発現するので形質はすべて同じなのです。
そしてメンデルの第二法則である『分離の法則』によって二代目であるF2を説明することができます。
第一世代であるF1品種から採取した種子は第二世代であるF2ということになりますよね。
F2は優性(表面化する)遺伝子を3に対して劣勢(潜む)遺伝子は1という割合で発現するので収穫する野菜の形質はどれも異なっています。
野菜においてF2に発現する劣勢(潜む)遺伝子の形質は分離するため形状や色そして性質はとても不規則なのです。
そして第三世代であるF3ではさらに強く影響が現れるのですよ。
雄性不稔株を親に持つF1品種は生殖機能も失いかけている
[わたしたちが毎日食べている野菜(F1品種)のほとんどは子孫を残す能力を失っています]
たとえばF1品種のダイコンは雄性不稔(ゆうせいふねん)であるものが多いので葉の根元を土に植えると雄蕊(おしべ)のない花が咲く確率が高いでしょう。
結論を言うとF1品種は子孫を残すことができなくなってきているのです。
雄性不稔とは生殖器官を持たない突然変異の野菜でありF1品種の親株として利用させているのですよ。
わたしたちが購入している野菜のほとんどはこの生殖機能を失った野菜なのです。
F1品種【交雑品種】のメリットとデメリットはこちらで詳しく解説しています。
雄性不稔とは
[雄性不稔(ゆうせいふねん)とは突然変異によって子孫を残すことができない植物のことです]
雄性不稔(ゆうせいふねん)とはミトコンドリア遺伝子の異常によって子孫をつくる能力がない突然変異の植物のことです。
F1品種は人工的に交配させることによって作り出しているため自家受粉(自分のめしべに自分の花粉がつくこと)を防止する必要があります。
そのためには生殖器官である雄(お)しべを取り除(のぞ)いたり雄花を開かないようにする除雄(じょゆう)という作業をおこなう必要があるのですよ。
労力を必要とする除雄作業を簡略化させるために雄性不稔を利用しているのです。
あらかじめ雄性不稔の植物を栽培しそれを親株にしてF1品種を生産しているのですよ。
実はわたしたちが日常的に食べている野菜も販売されているF1品種の種子もほとんどは子孫を残すことができないの雄性不稔なのです。
野口種苗研究所の野口勲代表は、わたしたちが住む北半球の文明圏においての人口減少と野菜の雄性不稔(ゆうせいふねん)には何らかの関係性があるとして警鐘(けいしょう)を鳴らしています。
[野口勲代表とご家族]
出典 野口種苗研究所
まとめ
F1品種は人が作り出した種子区分であり生育旺盛な性質と素晴らしい特性を使いこなすことであなたの栽培ライフをさらに充実したものにしてくれます。
自家採種には適さないので種子を採取するなら在来種や固定種の種子を播(ま)きましょう。
固定種の特性についてはこちらの記事で解説しています。
固定種に分類される2種類を解説!伝統野菜の在来種と育種の育成種
ぜひご覧ください。
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